Cada vez que me recuerdes (私を思い出してくれる度に)
Jose María Contursi (ホセ・マリア・コントゥルシィ)
まだあなたの心が私のものだった頃
あなたの心に忍び込んだ灰色の亡霊が
少しずつあなたを包み込んで
少しずつあなたは私から離れていった
あなたが去ってしまった時の悲しみは
二人が出会った時の愛より大きいはず
悲しい鐘の音が
私の孤独の中に響き渡る
あなたが私を思い出してくれる度に
夜が優しく私にそのことを告げるでしょう
空と海が見えなくなるところで
満点の星が私に輝きを与えてくれる
あなたが私を思い出してくれる度に
その想いが私にくちづけしてくれるでしょう
いつかあなたが人生の終わりを迎えるとき
あなたは過去を振り返り 私を感じることでしょう
哀れな私の心は
あなたの後を追ってずたずたになってしまった
そして私のこわばった手の中で
希望は死んでいった
もし許せないことがあるとするならば
それはあなたが何も気にせず置き忘れていったもの
私の存在全てを包み込む
あなただけにしかないもの
あなただけの何かを
De Barro (デ・バロ)
Homero Manzi (オメロ・マンシ)
水溜りに映る俺の人生を思う
時は過ぎ去り
夢は枯れてしまった
泥でできた鏡に、君の愛しい瞳が映る
煙草の煙の幻影なのか
非難があれば忘却があり
罪があれば許しがある
はるか彼方から君の瞳が
あの日の嘆きと共に 浮かんでくる
考えてみれば俺は君に全ての罪をおしつけていた
君に連絡もしないで後も追わず、
ただ面白がって笑っていたんだ
俺の人生なんて煙草と同じで何の価値もない
今やっと気づいたんだ
全ては恨みと泥でできた、
うそっぱちなんだと
君の涙を理解するのに
だいぶ時間がかかってしまった
煙草の煙の中に
君の清らかな姿を探して
浮かんできたものは 道に迷う君の姿
全ては泥でできている、うそっぱちなのさ
俺の人生も
俺の愛も
Fuimos (二人は…)
Homero Manzi (オメロ・マンシ)
その時 あなたは人生を諦めかけていた
疲労と息のつまりそうな感覚に襲われて
私の存在が 残酷にもあなたの傷を深くしていった
私のせいで、あなたはまるで雪の中の凍えたつばめ
気力をなくし しぼんだ薔薇のようだった
二人で 穏やかな午後を一緒に過ごそうと夢見たけれど
結局それは無理な話だったわね
私達の愛は、祈りもせず、泣きもせず、
何を願うこともない旅人のようにさまよったあげく
死んでいったのよ
出てって...!
自分で自分の首絞めているのがわからないの?
私があなたのこと呼んでいるのがわからないの?
出てって...!
私泣いてるんだから キスしないで
もうこれ以上泣きたくないの
ね、私たち別れた方がいいのよ
出てって...!
わからないの?あなたのこと救っているのよ
私があなたのこと愛しているのがわからないの?
私のことはもう忘れて 電話もキスもしないで
悲しむのはやめて もう私を愛さないで
将来の見通しもなく
ただ抱き合いながら、夜の暗い道を歩いた私達
愛と生の波にもまれ溺れてしまった死骸のように
冷たい世間の風にあおられながら、
過去に縛られ、本当の生き方ができなかった
二人で 穏やかな午後を一緒に過ごそうと夢見たけれど
結局それは無理な話だったわね
Los mareados (酔いどれ達)
Enrique Cadícamo (エンリケ・カディカモ)
どうしてなのだろう
輝くほど美しい君は
酒を飲むと 綺麗なのに不幸に見える
シャンパンの杯を傾けながら
泣きたい気持ちを紛らわそうと
笑ってばかりいたね
君とこうして会って
君を見つめていると 悲しい気分になる
美しく輝きに満ちたその君の瞳を
僕はどれだけ愛したことか
ねえ 君
今夜僕らは酔ってしまったね
人に笑われたっていいじゃないか
酔っ払いと呼ばれたって構わないさ
誰にだって悩みはある
もちろん僕たちにもね
今夜はとにかくとことん飲もうじゃないか
こうやって会えるのも これが最後なのだから
今日 君は僕の過去となっていく
僕の過去の歴史の一部へと
傷ついた僕の魂が背負っているものは
愛、悲しみ、そして苦痛の三つだ
今日 君は僕の過去となり
そして今 僕達は新たな道を歩みだす
僕たちの愛のなんと大きかったことか
それにもかかわらず ああ
残ったものといったら こんなものさ
Malena (マレナ)
Homero Manzi (オメロ・マンシ)
マレナはタンゴを唄う
彼女にしか歌えない唄を
一つ一つの言葉に心をこめて
その声には 郊外の香草の香り
マレナには唄う バンドネオンの悲しみを抱いて
たぶん子供の頃に起こった何かが
その雲雀の声を
路地の暗い音色に変えたのだろう
それともお酒を飲んで悲しくなった時にだけ話す
あのロマンスのせいなのか…
マレナはタンゴを唄う
影のある声で
バンドネオンの悲しみを抱いて
君の唄を聴くと
辛い別れを思い出す
君の唄は 甘さと苦さを含んでいる
君の声は 悲しみから生まれるのか
私はわからない
ただ感じるのは マレナ
君のタンゴの響きに
私よりずっと純真な 君の心を感じることだ
君の瞳は 忘却の暗闇
君の唇は 固く閉ざされた恨み
君の両手は 寒さに震える二羽の鳩
君の身体には バンドネオンの血が流れている
君のタンゴは まるで泥を踏んで歩く みなしごのよう
閉ざされた時間、ほえる魂
マレナはタンゴを唄う
震えた声で
バンドネオンの悲しみを抱いて
Motivo de vals (ワルツのモチーフ)
Carlos Bahr (カルロス・バール)
過去のにごってしまったいきさつに
失われた景色が映し出される
古びた鏡のように
今夜君と再会する
忘却と霧がおりなす灰色の
時の境界から聞こえてくる声
いまだに君を夢みると…
ワルツの音にのってよみがえる
色あせたワルツのモチーフ
突然 通りがけに聴こえてくる
あの日のメロディ
その流れにぼくは引き込まれる
感情のこもった声は
君のことを 思い出させる
限りなく近かった君が、近く、そして遠く…
懐かしい愛着のある言葉が聞こえてくる
僕たちの生きたあの日々が
消されることはないだろうと
Recién (今、やっと)
Homero Manzi (オメロ・マンシ)
今 やっと
君のもとへと帰ってきた
数々の失敗と傷を隠しながら
君のやさしく清らかな手に包まれて
今初めて気がついたんだ
昔、僕が君を傷つけていたことに
あの頃はまだ若く 無謀だった
不器用で うそをついてばかりいて
そんな僕を君はとても愛してくれたのに
僕はと言えば 君の涙と悲しむ姿に
嫌気がさして 出て行ってしまったんだ
今 やっと
物事を素直に見ることができるようになった
人生からいかに沢山のことが学べるかということも知ったんだ
今 こうして君のもとに戻ってきて
昔のことを責められると思っていたのに
それどころか 君は全てを許してくれた
Soledad (孤独)
Alfredo Le Pera (アルフレド・レ・ペラ)
誰にも言われたくないの
二人の甘い生活が もう過去のものだということを
来るはずのないあなたからの電話を待って
私の心は嘘でもいいからと、あなたを待っている
誰にも知られたくないの
私の孤独がどんなに辛く深いものであるかを
夜毎(よごと)、悪夢のように
時間がゆっくりと重たい時を刻んでいく
私は病んだ暗い部屋の中で
帰るはずのないあなたの足音を聞いている
時折その足音は止まり
部屋へ入ってくるのを躊躇しているように思えるの
でも そこには誰もいなくて
彼はもう戻ってこない
それは私の抱く幻でしかないの
そしてその幻が消えていく時
私の心に そっと灰を残していく
銀色の時計
苦しみと共に時間は止まり
奇妙な姿をした人達が通り過ぎて行く
その果てしない行列の中に
かつて私のものだったあなたの唇が見え隠れし
忘却の彼方へと消えていく
そして私は一人、ただ後悔に浸るだけ
Tristezas de la Calle Corrientes (コリエンテス通りの悲しみ)
Homero Expósito (オメロ・エクスポシト)
パンを買うわずかな小銭を稼ぐための通り
そしてその苦しむ町を流れていく川
その通りの光はなんて物悲しいのだろう
交差点に咲く、夢のようなネオンサイン
楽しそうに笑いころげるポスター
お酒なしでは笑うこともできず
もれてくるのは愛を売るための歌うような泣き声
悲しい喜びの市場
愛のしぐさが並べられ
夢(イリュージョン)と共に売買される
ああ、我々(ポルテーニョ*1)であるがゆえの悲しみ!
ああ、夢をみるがゆえの悲しみ!
お前の喜びは悲しみであると同時に
待つことの苦しみでもある
青白い光に濡れながら
泣いてばかり
ああ、我々であるがゆえの悲しみ!
ああ、我々が背負う十字架ゆえの悲しみ!
パンを買うわずかな小銭を稼ぐための通り
そしてその苦しむ町をながれていく川
人々はキリストを売ったようにお前を売った
オベリスク*2 が鋭い剣のごとく刺さり
とめどもなく流れるお前の血で染まっていく
*1: ポルテーニョ=ブエノスアイレス生まれ育ちの人
*2: ブエノスアイレス7月9日通りにある、この街を象徴する白い塔
Tú (あなた)
Jose María Contursi (ホセ・マリア・コントゥルシ)
輝く光のように
私の前に現れたあなた
あの頃の私ときたら 愛もとどまる所も知らず
世の中を生きていた
私の情熱は、過去の廃墟の中に埋もれてしまっていたの
あなたの瞳、唇、そして声に
明るい未来が約束されると感じたわ
私とあなたの手が触れ合った瞬間に
また新たに心がはずんだの
あなた…
あなたの愛の魔法と善良さが
私に微笑むことと許すことを教えてくれたわ
ね、 私ったら恨みの塊だったのよ
そして そう
海にかかる霧が日がさすと共に
晴れ渡っていくように
全てのわだかまりが消えていったの
あなたは
奇跡のような美しい音楽
私に微笑むことと許すことを教えてくれたのは
あなた…
あなたなしに過ごした日々の なんと悲しかったことか
絶え間ない拷問の中で 死ねずに息が詰まっていたわ
悲しみと嫌気と昔の思い出に 疲れ果てていた
でも あなたの口づけ、優しさ、思いやりと信じる力が
奇跡のように 私の過去を消し去ってくれたの
あの遠く暗い過去は もう二度と、そう、二度とは戻らないでしょう
Uno (人は...)
Enrique S. Discépolo (エンリケ・ディセポロ)
人は希望に満ちた明日を求め
苦しみが待ち受ける夢を見る
そして待ち受ける数々の残酷な戦いを知りながら
信念のために戦い続け、血を流す
人は棘の間をくぐり這っていく
そして愛を捧げたいと切望し、苦しみ、
既に心を失くして生きていることに気付くまで
人はずたずたに引き裂かれる
届かぬ口づけ、又は偽りの愛への対価として支払う罰の値段は
もう愛することも、泣くこともむなしく、
あるのはただ裏切りばかり
ああ、かつてあなたに捧げてしまったあの心が今の僕にあったなら
ああ、以前のように 何も未来のことなど考えず
ただ人を愛することができたのなら....
あなたのその瞳が僕に向かって、愛情を訴えながら叫んでいる
その瞳を僕のキスで 閉じてしまいたい
僕の人生を台無しにした 他の女のあの邪悪な瞳も
かつてはこのようであったことを考えないようにしながら
ああ、僕にかつて失くしてしまったあの心があったなら...
ああ、もしかつてその心が傷つけれたことを忘れ
君を愛することができるのなら
君の幻(イリュージョン)をこの胸に抱きしめよう
君の愛を想って泣くために
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